文献抄録
結核による尿管狭窄の対策
pp.905
発行日 1969年11月20日
Published Date 1969/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200782
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抗結核剤の台頭以来腎結核の治療成績は極めて向上したが,反面治療によつて尿管狭窄から腎機能障害を招来することが非常に多い。結核性尿管狭窄は幸なことに膀胱近接部に発生することが多いので,従来これに対していろいろな手術方法が報告されている。しかし狭窄が尿管の処々におきたり,ある長さの狭窄になるとボアリー法ないし尿管腸膀胱吻合術などが応用されている。尿管狭窄に対する簡単な処置としてHan-ley(1961)は8 Fの副木カテーテルを留置することによつて狭窄による水腎形成を治癒せしめた3例を既に報告しているが,その後この方法による報告が極めて少ないが,著者は尿管狭窄による結核性水腎の治療症例を経験し本法を推奨している。この方法は副木カテーテル留置により健常尿管粘膜の再生をはかるので,尿管に炎症があつては効果は少ない。これは外科的尿管再建においても同様である。そこで尿管狭窄の本法による治療は抗結核の化学療法開始後4ヵ月以上経過して結核性炎症が消退してから行なうことが望ましい。
著者の症例は2例で1例は33才女性。左腎・膀胱結核と診断され,ストマイ・パス・アイナの三者併用治療を開始後4ヵ月半にて患者に中等度の尿管狭窄による水腎形成が見られるようになつた。逆行性腎盂撮影で尿管中央部に2ヵ所の狭窄部が明らかとなつた。そこで8Fの副木カテーテルを腎盂まで留置し反対側を尿道より出して17日間留置した。
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