Japanese
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綜説
尿管の先天性異常—73症例の観察
Congenital Anormalies of Ureter
大田黒 和生
1,2
1国立小児病院泌尿器科
2東京大学医学部泌尿器科
1Department of Urology, National Childrens Hospital
2Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.353-362
発行日 1969年5月20日
Published Date 1969/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200669
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Ⅰ.緒言
尿管はWolf氏管末端部に生じた尿管芽が後腎組織細胞群内にのびてゆき,その先端部を扇形にひろげ,腎盂を形成しつつ,完成されてゆく。したがつて,腎に位置,数,形態(融合)などの奇形があれば当然,それと同時に尿管にも先天的な異常を生じてくる。また,そもそも尿管は腎実質内で生成された尿を膀胱へ運搬する役割を果しているため,逆に,尿管の先天性異常が腎へ影響を及ぼしていることが多い。たとえば先天性水腎症の80%以上が尿管の通過障害(腎盂尿管移行部—U-P,尿管膀胱移行部,U-Vを含む)に基づくといつても過言ではない。もちろん,尿管の先天性異常があつても必ずしも腎へ悪影響を及ぼしているとは限らない。そのような場合には一生涯発見されずに過されてしまう可能性が強い。
発生異常と先天性通過障害の2群に分けることができるが,前者では腎の奇形を伴い,後者では腎は先天性水腎症の形となることが多い。これら奇形の発見の端緒はその大部分が尿路感染症である。慢性的膿尿,発熱のくりかえし,腹部腫瘤など腎盂の炎症や,水腎症などがあつて始めて臨床的に発見されている。
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