文献抄録
尿路変更術の長期予後の観察/重複癌の相互転移の宿主
pp.357,381
発行日 1968年5月20日
Published Date 1968/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200402
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著者等は1952年以来300例以上の尿路変更術を行なつて来た。尿路変更法としては大部分の症例がBrick-er(1950)変法による回腸導管形成術で,これ等症例中4年から14年間にわたつて詳細に経過を観察し得た54例について述べる。症例観察の主眼点は腸管皮膚吻合部の状態,腎機能,腎盂像の形態,血液生化学的変化等の諸点てある。著者が本論文で取扱つた尿路変更症例の原疾患は神経因性膀胱24例,膀胱癌10例,子宮頸癌6例,膀胱・腟瘻5例,下都尿路狭窄4例,前立腺癌2例,その他3例となつている。これ等54例の術後の早期合併症について見ると手術創の感染2例,尿瘻形成2例,管腸狭窄1例,慢性的イレウス1例その他3例であつたが,いずれも容易に治癒した。また手術後3ヵ月以上経過してから発現したいわゆる晩期合併症としては腸管皮膚吻合部の狭窄11例,吻合部の腸管脱3例,ヘルニア1例,腎結石6例,水腎形成5例,膿腎症1例となつている。腎結石6例中4例は腎切石および腎部分切除を行なつた。5例の水腎形成は尿管腸管吻合部の狭窄によるもので術後1年から5年の間に見られた。これ等も再手術で治癒せしめ得た。54症例の術後の腎機能について見ると,術前と同様のもの33例(61%),悪化したもの12例(22%),改善されたもの9例(16%)であつた。創瘍感染菌としてはプロテウスが非常に多く,またこれが結石形成の主役をなしている。
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