増刊号特集 小児泌尿器科診療
治療の実際
尿路変更術
渡辺 健二
1
,
小川 秋實
1
1信州大学医学部泌尿器科
pp.221-226
発行日 1994年3月30日
Published Date 1994/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901187
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小児における尿路変更術は,さまざまな病態に対してさまざまな方法が行われている。腎機能が悪く,蠕動の弱い巨大尿管に対しては,一時的尿路変更術としてループ式尿管皮膚瘻あるいは終末尿管皮膚瘻が行われる。経尿道的弁切開術ができない後部尿道弁や,腎機能が悪く排尿障害を伴うプルン・ベリー症候群,あるいは新生児期に水腎や持続的膀胱拡張のみられる神経因性膀胱には,一時的尿路変更術として膀胱皮膚瘻(cutaneous vesicostomy)が行われる。後部尿道弁で,弁切開術後も排尿状態が悪く水腎水尿管がみられる症例や,低コンプライアンス膀胱による水腎あるいは尿失禁があり,尿道よりカテーテルを挿入することを嫌がる男児あるいは行動に車椅子を必要とする女児には永久的尿路変更術として虫垂利用膀胱瘻(appendicovesicostomy)が行われる。失禁型尿道上裂に対して膀胱頸部形成術を行う際,術後自排尿不能でしかも尿道カテーテル操作が困難なことも起こり得るので,補助的手術として虫垂利用膀胱瘻を追加することもある。膀胱摘除後あるいは膀胱を利用できない場合の永久的尿路変更術としては,尿管S状結腸吻合術,回腸導管,あるいは成人に対して行われてきたさまざまな禁性尿路変更術が,小児に対しても行われる。
小児においては,一つの病態に対していくつもの治療法があり,以上の手術はすべてオプションとして存在する。その選択に当っては家族とよく相談のうえ,決定しなければならない。
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