文献抄録
膀胱癌の部分切除について
pp.375
発行日 1978年4月20日
Published Date 1978/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202539
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膀胱癌の部分切除は以前程積極的に行なわれなくなつたが,部分切除を行なう症例の選択に気をつけるならば,術後も生理的経路の排尿が可能なので大いに推漿すべき方法である。
著者らは本法の適応例として,腫瘍がhigh gradeのものであつても,位置的に後側壁にあつて可動性のものは本法がよいとしている。腫瘍の位置が三角部,膀胱頸部にあつて浸潤,悪性度の高いもの,in situの癌,粘膜のatipiaの強いものなどは本法の適応とならない。著者らは本法を施行して予後を観察し得た101例について臨床経過を述べている。101例中男性85例,女性16例で,年齢は34歳から82歳までであつた。Stage O,Aは本来TURを行なうが,大きさ,位置の関係で部分切除を施行した。Stage別の5年の予後は0-9/9(100%),A−23/29(79%),B1−17/21(80%),B2−10/22(45%),C−1/17(6%),Grade別の5年予後は1-8/8(100%),Ⅱ−26/27(96%),Ⅲ−20/41(48%),Ⅳ−7/25(28%)であつた。術後の再発についてみると,101例中49例(49%)に再発をみた。このうち1年以内の再発例は24例である。5年予後はB2,C stageのものに悪いが,この内でも腫瘍が三角部に近く尿管再吻合したものにおいて殊に悪い結果であつた。
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