特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
4 尿路・性器の感染症
性感染症
064 淋菌感染症
濵砂 良一
1
1産業医科大学医学部泌尿器科
pp.188-190
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103133
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1 定義・病因
淋菌感染症は淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による感染症であり,主に男性では尿道炎と精巣上体炎を,女性では子宮頸管炎と骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory diseases:PID)を引き起こす。淋菌は高温にも低温にも弱く,炭酸ガス要求性であり,一般の環境下での生存はできない。このため,ヒトからヒトへ性感染症(STI)として生存し続けている。近年,性行動が多様化し,性器以外の感染例が増加している。オーラルセックスにより男女の咽頭から淋菌が検出され1),時に咽頭炎を発症する。咽頭の淋菌は,男性の尿道炎の感染源となることが重要である。アナルセックスにより淋菌性直腸炎が起こる。淋菌性子宮頸管炎を持つ母親から,経腟分娩により,新生児に淋菌性膿漏眼(淋菌性結膜炎)が起こることが知られている。成人においても眼の淋菌汚染により淋菌性結膜炎が起こり,重篤な眼瞼浮腫,結膜浮腫,多量の膿性滲出液をみる。女性でPIDに引き続き淋菌性腹膜炎を発症することがある。稀ではあるが,男女を問わず播種性淋菌感染症が起こる。淋菌が血行性に全身に播種された状態であり,菌血症による発熱のほか,関節炎などを併発する2,3)。
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