今月の主題 心不全診療の動向
心不全の治療法—適応と使用上の注意
TA-064,Amrinone
松本 直行
1
1佼成病院・心臓科
pp.37-39
発行日 1985年1月10日
Published Date 1985/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219569
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ジギタリスがW. Witheringによって初めて臨床に導入されてからすでに200年余を経過したが,いまだにこれを超える強心薬は出現していない.しかしながらジギタリスが理想の強心薬というわけではなく,従来から指摘されているように,ジギタリスの問題点として次のことがあげられている.①有効量と中毒量の幅が非常に狭く,治療域が非常に限られている.②効果に心疾患の種類,重症度を含めて個体差がみられ,①と密接につながっている.③他の薬物との相互作用がある.④薬効の機序がまだ十分に明らかでない.
また従来からの治療薬に加えて,血管拡張薬やカテコラミン,さらに補助循環システムが急性期を含めた心不全の治療体系にとり入れられるようになり,今後慢性期の心不全管理がさらに問題になると考えられる.実際,重症心不全例に新たな合成カテコラミン薬の持続点滴療法が繁用されるに至り,またカテコラミン持続点滴と血管拡張薬の併用療法の有効性を示す報告が多くみられるなかで,カテコラミン持続点滴からの離脱が困難な例に遭遇する機会が増えてきている.このような状況下で新たな経口強心薬の出現が期待され,近年従来の治療に抵抗を示す重症心不全例に対する効果を中心に,新たな強心薬の報告が多数みられるようになった(現在報告されている陽性変力作用物質とその作用機序を表1)に示す).
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