特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
2 尿路・性器の損傷
陰茎損傷,その他
043 陰茎折症
小谷 俊一
1
1中部労災病院泌尿器科
pp.128-130
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103112
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1 疾患の概念・病因
陰茎折症とは勃起した陰茎に外力が働き,陰茎海綿体白膜の断裂をきたした状態である。この結果,陰茎海綿体内から出血が起こり,これが皮下に貯留し,陰茎皮下の血腫や陰茎変形をきたす。勃起時に発生する理由としては,非勃起時の陰茎海綿体内白膜の厚さが2mmから勃起時には0.25~0.5mmと薄くなるためと考えられている1)。外力の原因として,勃起陰茎への用手的操作,性交中,寝返り,マスターベーション,転倒などが報告されている。吉永ら2)が本邦報告例447例を集計しており,泌尿器科医であれば一生に1~2回くらいは遭遇するものと心づもりしておく必要がある。吉永らの集計では,発生年齢は平均35.8歳(14~64歳)と性的活動の盛んな若い年代に好発する。白膜の断裂部位は左右別では右72%,左28%と右優位であり,また部位別では,陰茎近位部52%,中央部37%,遠位部10%と中央部から近位部に好発する1)。この理由は,陰茎根部を支持している陰茎堤靱帯を支点として陰茎が強く屈曲することが多いためである。白膜断裂の長さは1~3cmが大半であり,断裂方向はタテよりヨコ方向が多いとされている。
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