書評
「誰も教えてくれなかった血算の読み方・考え方」―岡田 定 著
神田 善伸
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター・血液科
pp.881
発行日 2011年10月20日
Published Date 2011/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102522
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岡田定先生が執筆された『誰も教えてくれなかった血算の読み方・考え方』が届いた。岡田先生といえば,学生・レジデントの人気No. 1である聖路加国際病院で内科統括部長・血液内科部長として活躍され,教育に熱心であることでも有名で,数多くの教育的著書を執筆・編集されている。特に『内科レジデントアトラス』は今,私の目の前の本棚のすぐ手が届くところに並んでいる。「血算」だけをテーマに1冊の書籍にまとめ上げたという本書にもおのずと期待が高まる。
血液の疾患というと,難しい,怖い,という印象が先行し,専門医以外からは敬遠されがちである。日常診療においても,白血球が少ない,ヘモグロビン値が低い,血小板が少ない,ということだけで,自分でしっかりと考察することなく即座に専門医に紹介されてくることが多い。もちろん,重篤な疾患が潜んでいる可能性があるので,診断に自信がない場合に専門医に紹介することは重要であるが,実際にはこれらの多くは少し考えれば自分自身で診断にたどりつくことができるものである。教科書に書かれていることをしっかりと読めば,初期対応としての鑑別診断は容易に実施できる。しかし,インターネット全盛の時代において,分厚い文字だらけの教科書を読み解くことは簡単ではないのかもしれない。
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