書評
「「病院」の教科書―知っておきたい組織と機能」―今中雄一 編
岩﨑 榮
1,2
1NPO法人卒後臨床研修評価機構
2元日医大・医療管理学
pp.407
発行日 2011年5月20日
Published Date 2011/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102399
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医療人(病院人)すべてを対象とする『「病院」の教科書―知っておきたい組織と機能』という画期的な本が出版された。本書の「はじめに」にあるように,病院の構造と機能を上手に組み合わせて書かれた本としては知る限り初めてであろう。病院の構造はわかりにくく,そこで働いている病院人にも理解しがたいところである。“機能”となればなおさらである。病院の1日がどのように動いているかは,病院長や幹部職員でも見えないことがある。本書はそうした病院の複雑さを踏まえ,読者がその全体像を把握できるように構成されている。
これまでにも,医学書院からはこの領域の書籍が発刊されてきた。時代は古いが,今日においてさえも教科書の域を超えたバイブル的存在といえる『病院管理学体系』(橋本寛敏・吉田幸雄監修,全6巻)や,最近では,ごく平易に書かれた『病院早わかり読本』(飯田修平編著)が出されている。しかし善きにつけ悪しきにつけ,病院が今日ほど一般国民から期待され注目されている時代はないであろう。だからこそ,医療職をはじめ病院にかかわるすべての人は,病院のなんたるかを知る必要がある。本書はその求めに応え得る内容を備えた書といえる。
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