私の本棚
基礎と臨床をつなぐもの—山村雄一著「病理生化学」など
柴田 一郎
pp.140
発行日 1978年1月10日
Published Date 1978/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207722
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私は久しい間,一般教養書のほかはもっぱら内科,あるいはその関連領域の臨床的な医書ばかりを読んできた.むかし結核菌の薬剤耐性の問題を研究していた頃に,これに関連した範囲の基礎医学書を若干読んでこのかた,内科医としての自分の学識を作ってゆこうと考えて読んだのは臨床に直結している本ばかりであった.まためぼしい本は購入しておかないと気がすまない性分なので,買うには買うが,全巻を通して読むということは書評を頼まれたときは例外としてあまりなくなっていた.
しかし,ここ数十年来,臨床に直結してゆく基礎医学の著しい発展があり,ある程度のまとまった基礎と臨床をつなぐ領域の知識の必要性を最近痛感し始めてきた.この領域の知識なくして,一般内科を根本から理解することの困難なことがやっとわかったのである.そしてあれも読みたい,この領域も読みたいと焦燥にかられながら,並べてある本を見渡したところ,目にとまったのが,山村雄一著「病理生化学」(1971,岩波書店)であった.
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