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Q セカンドTURBTを予定している膀胱癌,G3,pT1の症例。切除すべき部位など,注意点は何か。
[1]概 説
初回のTURBTの2~6週後に同部位に再度切除術を施行するセカンドTURBTは,T1(あるいはTaを含む)high grade腫瘍に対するより正確な病理評価を行ううえでの重要なステップである。最近の報告によると,T1症例においてセカンドTURBTで残存腫瘍が確認された症例は全体の31~67%で,T2へのup-stagingが確認された症例は8~23%であった1,2)。CISを随伴していた場合や,より大きな広茎性腫瘍において初回TURBTは不完全な切除になりやすく,セカンドTURBT切除標本で残存腫瘍,あるいは筋層浸潤をより認めやすいと想像される。初回のTURBTでどの程度深部を十分に,また腫瘍周囲を完全に切除しているか,などは術者の切除技量によって影響を受けるものと思われる3)。Divrikら1)は真のセカンドTURBTは初回に正確な,かつ完全切除を行った後のTURBTを示し,不完全な初回切除後のTURBTはrepeat resection,筋層浸潤の有無を確認する目的が主な場合はrestaging TURBTと,用語を区別すべきと述べている。
セカンドTURBTは病理組織診断の向上に寄与するのみならず,腫瘍部位を2度切除する機会を得ることから,より完全な腫瘍切除が可能となりTURBT自体,あるいはその後の膀胱注入療法の治療効果を向上させる可能性が示唆されている。セカンドTURBTで残存腫瘍を認めない,あるいはT1未満であった症例においてはその後の腫瘍進展率は低く,BCG膀胱内注入の治療効果もより高いと報告されている4)。またセカンドTURBTを施行した群と施行しなかった群では,その後の再発率,進展率に差が生じるとも報告されている1)。
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