特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅰ 尿路内視鏡手術
■経尿道的前立腺切除術(TURP)
003 被膜穿孔を起こしてしまい止血できない
上島 成也
1
Shigeya Uejima
1
1近畿大学医学部奈良病院泌尿器科
pp.22-23
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102248
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
Q TURPを施行中に被膜穿孔を起こした症例。低ナトリウム血症になったため手術を終了したいと考えている。しかし,切除が完全でないため十分に止血できない。どのようにして手術を終了すればよいか。
[1]概 説
TURPの合併症は,術中・術後早期および晩期の合併症がある。術中の合併症として,出血,穿孔およびTUR反応があり,これらは合わせて約10%発生するといわれている1)。
中でもTUR反応は,TURP施行中に起こる中毒症状で,灌流液が体内に吸収され,overhydrationと低ナトリウム血症となる。特に,被膜穿孔や静脈洞が開くと出現しやすいので注意が必要である。症状として,気分不快,悪心,あくび,意味不明の発言,徐脈,血圧低下などが現れる。
発生頻度は1%未満1,2)でさほど多くはないが,重篤な合併症となるので,対処法などについて理解が必要である。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.