書評
「実践 漢方ガイド 日常診療に活かすエキス製剤の使い方」―中野 哲,森 博美 監修
秋葉 哲生
1
1あきば伝統医学クリニック
pp.911
発行日 2010年11月20日
Published Date 2010/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102153
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
想像するに著者らは大垣市民病院において医療用漢方製剤を用いた臨床経験で一定の成功を収め,その成功の土台を踏まえて,これからの日本の漢方診療のあるべき姿を具体的な日常診療の位相で提言したものが本書であるといえるのではないか。
本書にあって類書にないものとして,EBMに対する明確な批判の立場を表明していることである。1980年代から向かうところ敵なきがごときエビデンス万能主義に対し,ひたすらひれ伏すだけでは漢方医学の長所が失われるとの主張はまさしく正鵠を得た発言である。日本東洋医学会にあって「漢方医学のEBM 2002年中間報告」,および「2005年最終報告」をしゃにむに取りまとめた評者などは,この文章を発見して思わず快哉を叫んだほどだ。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.