書評
「見逃さない・見落とさない スタンダード胃内視鏡検査」―細井董三 編 東京都多摩がん検診センター消化器科 執筆
細川 治
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1国家公務員共済連合会・横浜栄共済病院
pp.110
発行日 2010年2月20日
Published Date 2010/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101893
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一度の胃内視鏡検査で極めて多くの画像情報が得られるようになった。白色光画像以外に色素散布,酢酸散布,拡大,構造強調,NBI,AFI,FICEとあふれるような情報が供給される。しかもファイリング装置で撮影コマ数に制限がない。内視鏡医は手元スイッチを切り替え,処理しきれないほど多くの画像情報を得て,見落とし,見逃しの危険などないと思いがちである。しかし,その画像情報の収集過程に問題がある。胃内腔の構造は複雑で,噴門,胃体部の皺襞,胃角,偽幽門輪などの部位ごとの形態的な違いがあり,さらに胃底腺領域,幽門腺領域,萎縮領域といった粘膜腺も異なり,一筋縄ではいかない。
本書前書きに述べられているように,編者の細井先生は消化管のX線検査に長く携わってきた。その技量は達人の域であろう。卓越した撮影技術を有することにとどまらず,胃X線標準撮影法を確立し,この数年はその普及と精度管理に尽力している。本書では,X線検査で実現された標準化や精度管理が胃内視鏡で遅れていることに対する苛立ちが表れている。
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