一頁講座
緊急胃内視鏡検査
竹本 忠良
1
1東京女子医科大学消化器内科
pp.290
発行日 1972年3月25日
Published Date 1972/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109030
- 有料閲覧
- 文献概要
1971年の日本内視鏡学会総会では「上部消化管出血と内視鏡」というシンポジウムが開かれた.6月にはPrahaでUrgent Endoscopy of Digestive and Abdominal Diseasesという主題の国際シンポジウムが開催され,日本からもかなり参加した.いよいよ緊急消化管内視鏡検査の機運が盛りあがってくるように思う.食道鏡では出血のほかに,異物などの閉塞も緊急検査の対象となるであろうし,止血,異物剔出のような緊急治療も問題となるが,胃の方では緊急内視鏡検査はほとんど吐・下血に焦点がしぼられてくる.
緊急胃内視鏡検査によって正確な診断をつけることの有益なことを頭では理解していても実際に最初の1例を安全に検査してみるまでは随分と術者は緊張するものである.われわれも最初の2,3例ではよく白衣に吐出する血液をぶっかけられたりしながら,また冷汗も流しながら検査した.どんな検査でも,処置でもそうであるが,緊急時には普段の力を完全に発揮することがたいへんむずかしい.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.