書評
「プルキンエ不整脈」―野上昭彦,小林義典 著
井上 博
1
1富山大学大学院・内科学第二
pp.984
発行日 2009年11月20日
Published Date 2009/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101852
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驚くべきタイトルの単行本が上梓されたものである。2009年7月に京都で開催された日本心電学会と日本不整脈学会の合同学術集会の書籍展示で,最大部数を売り上げたようである。不整脈全体を網羅するものばかりでなく,個々の不整脈を扱った単行本はこれまでにも上梓されている。例えば心房細動,WPW症候群,Brugada症候群などである。これらの不整脈はそれなりにまとまった疾患として認識されており,単行本としても違和感はない。
だが,「プルキンエ不整脈」という疾患概念にはなじみがうすい。左脚後枝に起源を持つベラパミル感受性心室頻拍をまず思い浮かべるが,その他の心室性不整脈については,いわれてみればなるほどプルキンエ線維が関係しているものもありそうに思われる。このような古い頭に一撃を加えるほどのインパクトを本書は持っている。著者の野上昭彦先生,小林義典先生は心臓電気生理の臨床でこれまで多くの業績を挙げてこられたが,特にプルキンエ線維が関連した心室頻拍や心室細動の研究に関しては第一人者である。
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