書評
「ブルガダ三兄弟の心電図リーディング・メソッド82」―野上昭彦,小林義典,鵜野起久也,蜂谷 仁 訳/Josep Brugada,Pedro Brugada,Ramon Brugada 著
相澤 義房
1,2
1新潟大
2立川メディカルセンター研究開発部
pp.546
発行日 2013年6月20日
Published Date 2013/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103255
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『ブルガダ三兄弟の心電図リーディング・メソッド82』(原書“Our Most Beloved Electro cardiograms”)が翻訳され,医学書院から上梓された。原著者は,あの高名なブルガダ三兄弟で,突然死蘇生例の中から特徴的な心電図所見を示す8例を報告し,これが今日Brugada症候群として知られるようになった。これは1992年の出来事であり,20年を経てその業績を称え,2012年のヨーロッパ心臓病学会(ESC)で表彰されている。以前,Pedro Brugada教授がBrugada症候群,私がJ波関連特発性心室細動,そしてSilvia Priori教授が遺伝性不整脈と,ウィーンのESCでシンポジウムの機会を作っていただいたのも10年以上昔の懐かしい思い出である。三兄弟の中で,とりわけ長男のP. Brugada教授はユーモアにあふれ,クリスマスカードならぬクリスマスメールを送ってくれるが,これが節約なのかエコなのかといった物議をかもしたりしている。
さて,本書の内容であるが,全体で82題の心電図(不整脈)を取り扱っている。おのおの,不整脈の名前ではなくユーモアを含んだしかも本質的なタイトルが付けられている。そしてその解説(回答)は簡潔に,キーポイントを挙げるという形をとっている。取り上げられた不整脈は誰もが目にするはずのもので,決して稀なものに限ったり,奇をてらったものではない。ある程度ありふれた不整脈でありながらも,随所にさすが三兄弟と言うべき心電図診断における心がけが見てとれる気がする。
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