交見室
携行型(wearable)ビデオ再生装置による手術手技習得―iPodとWalsh
徳地 弘
1
,
岡垣 哲弥
1
1高槻赤十字病院泌尿器科
pp.841
発行日 2009年9月20日
Published Date 2009/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101824
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技術には,暗黙知と言語化できる知(形式知)がある。例えばパン職人の生地のこね方には独特のこつがあり,それはこねている本人にも言語化は困難であるが,ホームベーカリーの開発にあたり松下電器の社員が何度もそれを見学し,まねて,“ひねり伸ばし”にパンをおいしくする秘密があることを見抜き,その動きを機械で再現することによっておいしいパンを作れるホームベーカリーができたという話がある。これは経営学の話ではあるが,暗黙知を自分の認識力で自分にとっての形式知とし,暗黙知へとしみこませるという作業が技を習得するということであり,暗黙知と形式知の循環するサイクルを作ることが知識を創造していくうえで最大のポイントとなるという1)。
前立腺全摘除術における神経温存術も,温存する神経が直接目視できないこと,実際神経が温存できたかどうかは術後数か月以上待たねば判断できないこと,同じ術式を用いても,経験,個人差で手術成績に大きな幅があることなど,暗黙知の要素が大きい。
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