メディカルエッセイ
尿失禁―究極の選択
加藤 久美子
1
1名古屋第一赤十字病院女性泌尿器科
pp.186
発行日 2009年4月5日
Published Date 2009/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101714
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尿失禁は,溢流性尿失禁から腎後性腎不全になるような状況を除けば,基本的に命にかかわることはない。しかし,当人の悩みはときに深刻で,医師が思う以上の犠牲を払っても治したいと望む人もいる。記憶に残る2人の患者について述べる。
1人は新米医者のときに出会った30代女性1,2)。二分脊椎の神経因性膀胱で,それまで泌尿器科を受診せず,自己流に腹圧排尿で対処していた。腹圧性尿失禁の治療を求めて,名古屋大学の近藤厚生先生のところに来られた。1980年代前半は,腹圧性尿失禁に対して針式膀胱頸部挙上術のStamey法が日本でも導入された時代であった。
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