特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
5.腫瘍(外来化学療法)
【膀胱癌】
59.膀胱癌術後にM-VAC療法を行い,CRとなった患者です。今後の維持化学療法について教えてください。
下田 次郎
1
1岩手県立胆沢病院泌尿器科
pp.200-203
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101439
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1 診療の概要
膀胱全摘術を行った結果,局所の浸潤度が高かった場合(pT 3以上),リンパ節転移があった場合など,手術療法のみでは根治性に疑問が残る場合,adjuvant chemotherapyが行われる。一連の多剤併用化学療法でCRとなった後は,無治療で厳重経過観察をするという選択肢もあると思われるが,一般的に外来で維持化学療法を行う場合,どのような手段が選択できるだろうか。
進行尿路上皮癌への化学療法としては,M-VACを筆頭に,変法であるhigh dose-MVAC,CMV,CISCA,MEC,GC療法などの多剤併用化学療法が一定の評価を得ていることは,改めて述べるまでもない。しかし,こうした化学療法で効果が得られた場合でも,奏効期間は決して長くなく,M-VACでも1年以内に再発することがほとんどである。また,その間も副作用の管理のため長期入院を強いられたり,ようやく副作用がおさまる頃には腫瘍も再び増大するというジレンマを抱えている。患者のQOLは,ときに極めて劣悪なものとなり,有効性を示す「癌の縮小」も医療者側の自己満足で終わっている危険性も否定できない。
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