増刊号特集 術者からみた局所解剖
Ⅱ 下部尿路系の局所解剖
1.膀胱
膀胱全摘除術
星 宣次
Senji Hoshi
pp.82-86
発行日 1997年4月30日
Published Date 1997/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902035
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男性では膀胱を覆う周囲脂肪組織とともに膀胱・精嚢・前立腺を一塊として摘除する。全摘術の基本はまず,①リンパ節郭清を行う,②精管を中枢側に追う,③腹膜と膀胱の間を外す,④Denonvilliers膜を破り前立腺と直腸の間を剥離する,⑤前立腺の後面を剥離し尿道を確認したら,尿道の前面を用手的に剥離する,⑥前面からSantorini静脈叢と尿道の間に曲がり鉗子を通し,1号絹糸で結紮し,曲がり鉗子でSantorini静脈叢を阻血し,切断する。
膀胱摘除後の死腔を腹膜で覆わずにおくと腹膜欠損部に腸管・腸間膜が癒着し,術後に腸管閉塞,死腔感染を招きやすい。腹膜欠損に基づく術後障害を減らすため,腹膜は切除しない。腹膜に浸潤が疑われる場合のみ,その部分の腹膜を切除する。
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