画像診断
腎被膜下血腫の経過観察中に診断し得た腎腫瘍
菊川 忠彦
1
,
島本 憲司
1
,
横山 雅好
1
1愛媛大学医学部泌尿器科
キーワード:
腎腫瘍
,
血腫
Keyword:
腎腫瘍
,
血腫
pp.156-158
発行日 2008年2月20日
Published Date 2008/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101350
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患 者 78歳,男性。
主 訴 後腹膜腫瘤。
既往歴 10年前に前立腺肥大症に対し,恥骨後式前立腺摘除術を受けた。2年前より脳梗塞のため塩酸ピクロナジンを内服中。
経 過 2006年1月に感冒にて内科を受診した際,超音波検査にて右後腹膜腫瘤を指摘された。数日後,近医泌尿器科を受診し,造影CTで内部不均一な右後腹膜腫瘤を指摘されたため塩酸ピクロナジンを中止し(図1),2月初旬当院に紹介され受診した。
当院での造影CTで腫瘤内に造影効果がないため右腎被膜下血腫と診断し(図2),経過観察とした。同年3月,再度CTを撮影すると被膜下血腫と思われた部位は縮小していたが,内部にわずかに造影される部位が存在した(図3)。4月に再度CTおよびMRIを撮影したところ,囊胞内に2cm大の造影される部位があり,出血を伴う腎細胞癌と診断した(図4)。他に転移はなく,臨床病期T1b N0M0と診断し,2006年7月に根治的右腎摘除術が施行された。右腎は周囲との癒着が著明で,剝離は困難を極めた。病理組織診断は淡明細胞癌を伴う乳頭状腎細胞癌であり,造影された部位と点線で示した淡明細胞癌の存在していた部位は一致していた(図5)。
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