特集 ここが聞きたい―泌尿器科処置・手術とトラブル対処法
Ⅱ.泌尿器科手術
D.開腹手術
■尿失禁の手術
【尿失禁の手術】
91.TVT手術を行った患者です。腹圧性尿失禁は改善しましたが,強い排尿困難と切迫性尿失禁が出現してきました。どのように対処すればよいでしょうか。
加藤 久美子
1
,
鈴木 弘一
2
,
村瀬 達良
2
,
鈴木 省治
3
1名古屋第一赤十字病院女性泌尿器科
2名古屋第一赤十字病院泌尿器科
3名古屋第一赤十字病院産婦人科
pp.281-283
発行日 2007年4月5日
Published Date 2007/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101168
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TVT(tension-free vaginal tape)手術の原報告では,術中の咳ストレステストでテープ位置を調節することが,中部尿道の支持をtension-freeで実現する基本アイディアになっている1)。しかしながら,フィンランド全国調査2)では,完全尿閉が1,455名中34名(2.3%),軽度の排尿困難は111名(7.6%)に起きている。テープによる閉塞は,術後新たに尿意切迫感,切迫性尿失禁が生じたり(de novo urgency),術前あった切迫症状が悪化する要因にもなる。Klutkeら3)は600名中17名(2.8%)で,術後1週以上続く尿閉や閉塞症状のためテープ切断を行い,Rardinら4)は1,175名中23名(1.9%)で,保存的療法に反応せず持続する尿閉,排尿困難,高度の尿意切迫感,切迫性尿失禁のためにテープ切断を行っている。
本稿では,テープが閉塞的になったときの対応と防止策について述べる。
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