画像診断
透析患者に発生した腎細胞癌に対する造影超音波検査
原口 貴裕
1
,
古川 順也
1
,
山中 望
1
1関西労災病院泌尿器科
キーワード:
腎細胞癌
,
超音波検査
Keyword:
腎細胞癌
,
超音波検査
pp.75-77
発行日 2003年1月20日
Published Date 2003/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100777
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患者 57歳,男性。
主訴 肉眼的血尿。
既往歴 慢性糸球体腎炎(1973年血液透析導入),aquired cystic disease of kidney(ACDKと略す)。
現病歴 2000年3月に肉眼的血尿を認めたが自然軽快。7月に再度肉眼的血尿を認めたため,8月15日当科を受診した。
画像所見 腹部超音波では,ACDKに加え左腎に内部不整な嚢胞性腫瘍を認めた。カラードプラでは,腫瘍内に血流シグナルを確認できなかったが,レボビスト(R)による造影検査では腫瘍内に血流シグナルを確認でき,さらにこの部位のパルスドプラで拍動波を確認できた。なお血液透析患者のため,カラードプラでは腎実質の血流シグナルも比較的微弱であったが,造影することにより腎実質の血流シグナルも増強した(図1)。CTでは,囊胞壁の石灰化を認め,内部は不均一にhigh densityであった(図2)。MRI T1強調画像では辺縁がiso intensityで内部は不均一にhigh intensity,T2強調画像では内部が概ねlow intensityで一部high intensityが混在しており,陳旧性の出血性囊胞を疑わせる所見であった(図3)。腎動脈造影では腫瘍はavascularであった(図4)。
経過 左腎癌の診断の下,9月5日左腰部斜切開にて左腎摘除術を施行した。
病理組織学的診断 肉眼的には囊胞壁に直径8mmの黄色調の腫瘍を認め,囊胞内は凝血塊で満たされていた(図5)。組織学的にはRCC,common type,mixed subtype,G2であった(図6)。
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