画像診断
術前診断が困難であった腎悪性リンパ腫
廣部 恵美
1
,
安達 秀樹
1
,
堀田 浩貴
1
1北海道済会小樽病院泌尿器科
キーワード:
腎腫瘍
,
悪性リンパ腫
Keyword:
腎腫瘍
,
悪性リンパ腫
pp.793-795
発行日 2004年9月20日
Published Date 2004/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100614
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患 者 66歳,男性。
主 訴 肉眼的血尿,右下腹部鈍痛。
既往歴 55歳左尿管結石。
現病歴 2002年6月21日右下腹部痛と肉眼的血尿が出現し当科を受診した。超音波断層法で,右腎に水腎症と内部均一な低エコーの腫瘤を認めたため精査・加療目的に入院した。
入院時現症 特記すべき点なし。
入院時検査成績 LDH 682IU/l(正常値450以下)。尿検査:赤血球無数/HPF。
入院後経過 DIP,逆行性腎盂造影で右腎盂腎杯拡張と下腎杯の進展性低下を認めた(図1,2)。洗浄細胞診はclassⅢb(尿路上皮癌疑い)であった。CT・MRIでは,周囲への浸潤を伴う腎盂腫瘍が疑われた(図3,4)。大腸内視鏡検査で,上行結腸から肝彎曲部にかけて隆起性病変を認め生検を行ったが,異常は認められなかった。以上より右腎盂腫瘍および上行結腸浸潤の疑いにて,根治的右腎尿管摘除術および右半結腸切除術を施行した。右腎と上行結腸・十二指腸は強固に癒着していた(図5)。病理組織学的に,腎を主病変としたびまん性の異型リンパ球浸潤を認め,免疫染色から非ホジキンリンパ腫,びまん性大細胞型と診断された。十二指腸付着部に腫瘍細胞を認め切除断端陽性のため,化学療法を目的に血液内科に転科した。化学療法(CHOP計8コース)施行後,2004年4月現在CRにて生存中である。
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