異論・反論 泌尿器科術前・術後管理
7.絶食は排ガスがあるまで必要か
西村 憲二
1
Kenji Nishimura
1
1兵庫県立西宮病院泌尿器科
pp.318-320
発行日 2005年4月20日
Published Date 2005/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100321
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1 はじめに
人間の三大欲求といえば,食欲,性欲,睡眠欲であり,その1つでも欠ければ人間らしい生活ができない。食べるということは単に1日に必要な栄養を口から摂るだけではなく,その字からもわかるように,“人を良くする”効果がある。手術前より極度の緊張状態を強いられてきた患者にとって,食欲を満たすことが通常生活への第一歩であり,それをできるだけ早くかなえるように努力するのがわれわれの使命でもある。
手術後の患者に「食事はいつから食べられるようになるのですか」と質問されると,昔からわれわれは「おならが出てからですよ」と当たり前のように答えてきた。しかしながら,本当に排ガスがあるまで絶食は必要なのだろうか。消化管運動能の回復状況は,以前より排ガスの有無で評価されてきた。それは患者の訴えによってはじめて判明するのであって,排ガス前より腸管蠕動音が聴取されているのが普通であり,何より夜間に排ガスがあってもわれわれがその事実を知るのは翌朝である。
本稿では,泌尿器科術後の摂食開始に関して検討してみる。
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