外科の常識・非常識 人に聞けない素朴な疑問 4
絶食は排ガスがあるまで必要か
松股 孝
1
Matsumata Takashi
1
1中津市民病院・外科
pp.904-905
発行日 2004年7月20日
Published Date 2004/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100683
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【絶食の効用】
「断食はメスを使わない外科医」ともいわれる.絶食すると,熱ショック蛋白が誘導され細胞がストレスに強くなる.急性胆囊炎や急性虫垂炎も絶食療法によって急場をしのぐことができる.「食べすぎによる病気は絶食によって治る」はヒポクラテスの箴言である.しかし,手術侵襲後の絶食は危険である.
【早期経口摂取のメリット】
消化管は単なる消化と吸収の場ではなく,手術直後で消化管の運動機能が衰えているときでも,グルタミンを基質とした活発な蛋白代謝が営まれている.高カロリー輸液を行っても,2日もすれば消化管粘膜の透過性が亢進してくる.排ガスが起こる前の術後40時間以内に開始する経口摂取を早期経口摂取といっているが,消化管粘膜の萎縮を防止するためにも必要である.
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