今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方
I. 周産期
[GBS感染症]
4.GBS陽性妊婦の対処と処方について教えて下さい.またペニシリンアレルギーの場合の対処についても教えて下さい.
坂井 昌人
1
1総合母子保健センター愛育病院産婦人科
pp.372-373
発行日 2003年4月10日
Published Date 2003/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100945
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1 診療の概説
B群溶血連鎖球菌(GBS)が原因の早期発症型新生児敗血症の頻度は,分娩1,000対1.4ときわめて高いわけではないが,約25%の高死亡率と,生存児にも高頻度で後遺神経障害を残すことが知られている.生後7日以内に発症する早期発症型は,通常,生後6~12時間で完成し,ときには生下時すでに発症している.
GBSは皮膚の常在菌なので,妊婦の腟や会陰の細菌培養を行えば15~20%にGBS陽性の結果を得る.しかし,このうち分娩時に児に感染し,新生児がGBS感染症となる可能性は,抗生剤の予防投与をしない場合はおよそ1%である.GBS陽性妊婦の99%の母児には不要な投与となる結果だが,新生児GBS感染症の深刻さから,ACOG(米国産婦人科学会,1996)や米国小児科学会(1997)はGBS感染症予防のためのガイドラインを作成した.現在,統一された1つの方法というものはないが,これらのガイドラインを参考にして多くの施設で予防策を行っている.米国では,分娩時の母体への抗生剤予防投与により新生児GBS感染症の発症頻度は1/2以下~1/8以下に減少した.
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