特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【尿管炎】
9.濾胞性尿管炎が疑われる患者です。対処と処方について教えて下さい。
黒川 純
1
1聖路加国際病院泌尿器科
pp.40-41
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100217
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1 診療の概要
濾胞性尿管炎とは,濾胞(囊胞)を形成する尿路疾患の1つである。濾胞とは,多数の細胞から成る完全に閉じた胞状構造を意味し,形態的な画像上の所見を表している。また囊胞とは,固有の壁を持ち,中に流動体などを含んだ囊を意味し,主に組織学的な所見を意味し,表している1)。よって,濾胞性の表現は濾胞(囊胞)性として解説をしていく。
濾胞(囊胞)性尿管炎は尿管粘膜下に多数の小囊胞を形成する稀な疾である。尿管だけにとどまらず腎盂との両粘膜に発生する症例もみられるため,濾胞(囊胞)性腎盂尿管炎と診断されることもある。本症における囊胞の形成機序は,主に尿路感染症や尿路結石による慢性的な機械的刺激が誘因であるというBrunnら2)の説が有力とされている。そのほかの誘因としては,尿中に排泄される毒素,寄生虫3),ビタミンA欠乏,あるいは先天性因子なども提唱されているが,まだ定説を得るには至っていない4)。
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