特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患
■性感染症
【非淋菌性尿道炎】
28.クラミジア性尿道炎が疑われる患者です。対処と処方について教えて下さい。
小野寺 昭一
1
1東京慈恵会医科大学泌尿器科・感染制御部
pp.105-108
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100236
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1 診療の概要
STD(sexually transmitted diseases)性の尿道炎は淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎に分類されるが,非淋菌性尿道炎の約半数はクラミジア(Chlamydia trachomatis)によるものと考えられている。非淋菌性尿道炎におけるクラミジア以外の原因微生物としては,Mycoplasma genitalium,Mycoplasma hominis,Ureaplasma urealyticum,Staphylococcus saprophyticus,Trichomonas vaginalisなどが挙げられているが,これらの微生物の尿道炎における分離頻度や病原性については未だ不明の部分も多い1)(表1)。
疫学的にみると,男性における尿道炎と女性における子宮頸管炎を合わせた性器クラミジア感染症は,現在世界で最も頻度の高い性感染症である。わが国においても女性における性器クラミジア感染症の増加が問題となっており,特に10歳代後半から20歳代の若年女性における感染率の高さが大きな問題となっている2)。男性においては,淋菌性尿道炎の患者数とクラミジア性尿道炎との報告数はほぼ同数であるが,やはり近年,女性と同様に増加傾向が続いている(図1)。さらに性器クラミジア感染症において,女性では約70%,男性でも20%程度は無症候であるといわれており2),このことが患者の蔓延する大きな要因になっている。また,無症候性の感染が放置された場合,女性ではクラミジア性の子宮頸管炎から骨盤内炎症性疾患や卵管炎を起こし,男性でも精巣上体炎を引き起こすことが稀ではない。
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