特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【膀胱炎】
1.受診時ごとに検尿を調べると膿尿を認める車椅子生活の高齢患者です。不定期に抗生物質を投与しましたが効果がありません。対処と処方について教えて下さい。
三木 健太
1
1東京慈恵会医科大学泌尿器科
pp.16-17
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100209
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1 診療の概要
車椅子生活の高齢患者であるので,健康な一般成人の検尿の所見とは区別して考えるべきである。報告では,少なくとも65歳を超えた女性の20%,男性の10%に細菌尿が認められるとされ1),また細菌尿のある高齢者の大多数は症状がないとされている2,3)。しかしながら,今回の課題では触れられていないが細菌尿のある患者が昏睡,錯乱状態,食欲不振あるいは失禁のような症状を伴うような場合には,将来,尿路感染が重症化しないように注意が必要である4)。具体的には長期に尿道カテーテルを留置しているようなリスクファクターが存在するときなどが問題視される。
2 診療方針
診療のたびに検尿で膿尿を認めるとされているが,細菌尿を認めたわけではない。つまり,尿道常在菌の汚染がないときに採取された尿から104個/mリットル以上の細菌数があれば有意とするが,そうでなければ尿路感染症が存在するとはいえないので,そもそも抗生物質による治療の必要がないのではないかと考えるべきである。膿尿や細菌尿の存在があるか,あるいはさらに随伴する症状の有無により方針を計画するとわかりやすい。
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