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14年前の本誌増刊号「特集/外来泌尿器科マニュアル」の巻頭言において,町田豊平先生は,「病院に入院して行われる診療や治療は,先端技術での医療行為が目立つためにそれが泌尿器科の檜舞台のようにみえる。しかし,実際は外来診療で費やされる仕事が最も多く,華々しくないが個々の技量が最も問われるのは外来診療である」と外来診療の本質を述べられています。近年,泌尿器科診断学の進歩は著しく,また,外来治療とプライマリ・ケアが拡大している今日においても,その基本姿勢は変わりないものと思います。しかも,一般内科や外科の場合と違って,泌尿器科受診の患者さんは,ある程度,泌尿器科疾患を疑って来院するわけで,局所的な泌尿器科所見のみならず,全身的な異常や疾患の背景にも配慮が不可欠です。また,泌尿器科診療の多様性により,各領域に及ぶ広範な経験・知識が要求されることも少なくありません。
今回,本増刊号では,多くの泌尿器科医が外来診療において日常遭遇している疑問・問題点に関して,各々の領域において幅広い経験を持つ精通者に直接相談するような形式の実用的な特集を企画しました。すなわち,まず準備段階として,本誌「病院めぐり」に登場された執筆者の各先生方を対象に,日常外来診療において実際に困惑している多様な問題についてアンケート調査を施行し,多くの質問事項を抽出しました。これら質問事項を,(1)尿路・性器の炎症性疾患,(2)神経因性膀胱障害と尿失禁,(3)前立腺肥大症,(4)尿路結石,(5)腫瘍(外来化学療法),(6)内分泌疾患,(7)腎不全,(8)そのほか,と疾患別に分類しました。さらに,それら各々の実際の質問事項に対する回答を,現在,第一線の医療機関において活躍されている新進気鋭の先生方に,「1.診療の概要」「2.診療方針」「3.対処の実際」「4.処方の実際」「5.ここがポイント」の各項目について,実際の日常診療で役立つように執筆していただき,本増刊号「ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方」が誕生しました。
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