Japanese
English
症例報告
大腿に発生したtumoral calcinosisの1例
A case of tumoral calcinosis on the thigh
速水 真理子
1
,
速水 誠
2
Mariko HAYAMI
1
,
Makoto HAYAMI
2
1大阪市立大学大学院医学研究科臨床医科学専攻生殖発達医学皮膚科学教室
2速水皮膚科
1Department of Dermatology, Course of Clinical Medicine, Osaka City University Graduate School of Medicine
2Hayami Dermatological Clinic
キーワード:
大型石灰沈着
,
大腿発生
,
chicken-wire
,
蜂巣状構造
Keyword:
大型石灰沈着
,
大腿発生
,
chicken-wire
,
蜂巣状構造
pp.453-456
発行日 2002年5月1日
Published Date 2002/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903986
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Tumoral calcinosis(TC)は大関節周囲の皮下に比較的大型の石灰沈着をきたす疾患で黒人に好発する.世界には200例以上の報告があるが,わが国には少なく,皮膚料領域からの報告はさらに少数にとどまっている.本症の疾患概念には混乱がみられ,Harkess & Peters, Touartらにより提唱された定義に合致しない多数の症例も本症として報告され,その独立性に疑問が投げかけられている.
筆者らは30歳,女性の大腿皮下に認められたTCに根治手術を行い,機能的,整容的に極めて満足すべき結果を得ることができたので報告する.あわせて行った若干の文献考察では,本症は発生病理の異なるグループからなり,臨床像,摘出腫瘤外観および予後に大きな差がみられるが,X線像,組織像には共通所見が存在した.筆者らはこの所見を本症を独立疾患として扱うのに十分な根拠と考え,TCは「原因にかかわりなく蜂巣状構造の線維性隔壁を伴う皮下の大型石灰沈着」との定義を提唱したい.
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