臨床経験
Tumoral calcinosisについて
冨永 積生
1
,
礒部 輝雄
2
Sekio TOMINAGA
1
,
Teruo ISOBE
2
1島根県立中央病院整形外科
2山口大学医学部整形外科学教室
pp.787-791
発行日 1974年9月25日
Published Date 1974/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905051
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緒言
軟部組織への病的なる石灰沈着はcalcinosis2)(石灰化症)なる疾患名で呼ばれている.これには3つの型があげられる.すなわち,①21)calcinosis circumscripta,②calcinosis uniVersalis,③tumoral calcinosisである.①と②とは病変部の分布と拡がりとから区別するが,多くの症例では厳密なる区別は不可能であり,これをまとめてcalcinosis interstitialis(Lesityna 196411))とも呼ばれる.
局在性の関節周囲の腫瘤形成を特徴とするtumoral calcinosisなる名称はInclan9)(1943)によつて提唱されたが,これ以前にDuret6)(1899)により本疾患の腫瘤の組織学的性状からcalcifying endotheliomaとして,Teutchlander18)(1935)によりlipocalcinogranulomatosisとして報告された.最近Reedi15)(1965)はその組織学的所見がgranulomatousの炎症を特徴とし,軟骨化,骨化のmetaplasiaが伴つてみられることからgranulomatous calcinosisと呼ぶことを提唱した.これらの名称はいまだ混同して使われているが同一疾患を意味する.
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