Derm.2002
原因は何ですか?
神田 奈緒子
1
1帝京大学医学部皮膚科学教室
pp.46
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903924
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外来で日々患者さんを診察していると,「この病気の原因は何ですか?」と聞かれることが多い.感染症など病因のはっきりしている疾患はよいが,蕁麻疹,湿疹など,病因の特定できない疾患については返答に苦慮する.「原因は特定できません」といって,説明しても納得して下さらない.こんなときの切札として「アレルギーです」,あるいは「ストレスです」というと,それだけで妙に納得して下さる方もいるが,それでは満足せず,さらに「何のアレルギーですか」,「どういうストレスですか」と追求する方もいる.紆余曲折したあげく,あまり意味がなさそうでもIgE RASTなどの検査をオーダーし,「これが陽性であっても原因とはいえませんが……」とお茶を濁すこととなる.何年か皮膚科医をしていると,医学が進歩しても,体内現象は解明しきれないことが多く,病気の原因が特定できないのはむしろ当然のことだと開き直りの境地に達するのだが,患者さんによっては,すべての病気には必ずはっきりした原因があって,それは必ず解明できるはずだという信念を持っている方も多く,こういう方々はなかなか説得しきれない.「この病気の原因は何ですか?」といわれたときの対処法マニュアルがほしいと思う今日この頃である.
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