Derm.2002
高知県における日本紅斑熱事情
山本 康生
1
1高知県立幡多けんみん病院皮膚科
pp.52
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903926
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高知県における日本紅斑熱の患者発生は1983〜2001年の現在まで105例を数えます.そのうち95例は徳島県境に近い室戸市で発生し,その他の発生地区は奈半利町(室戸市のすぐ西)1例,北川村(室戸市の西)1例,高知市4例(うち3例は室戸市にて感染),春野町(高知市の南西)1例,宿毛市(1999年4月に開院した当院のある県西部)3例で,圧倒的に県東部の室戸市で発生しています.高知県は太平洋に面した東西に長い県で,豊かな自然に恵まれ,県東部の室戸市と県西部の宿毛市の自然環境はさほど異なるとは思えないのですが,なぜかこれまでの患者発生の頻度に違いがみられます.県東部の感染という点では,報告は稀ですが,creeping diseaseも県東部での発生で,県西部での報告はありません.これまで県西部に皮膚科専門医の常勤施設がなかったということはありますが,それだけでは十分に説明できないと考えています.
高知県衛生研究所では県下のマダニ相調査の結果から,今後も患者発生の中心は室戸市であると推測しています.室戸市から宿毛市までの車での移動時間は約5時間かかり,マダニの宿主となる野生動物の移動も容易ではないと考えているところです.しかし,高知市,宿毛市,春野町の感染例は,それぞれ1998年,1999年,2001年に相次いで確認され,室戸市以外の地域にも拡がりをみせており,今後の発生に注意が必要です.
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