Japanese
English
症例報告
顔面に生じた基底細胞癌に対する植皮術後に発症した肺塞栓症の1例
A case of pulmonary embolism after a skin graft to repair a defect due to the removal of basal cell carcinoma of the face
杉田 康志
1
,
行徳 英一
1
,
矢野 貴彦
1
,
土手 慶五
2
Yasushi SUGITA
1
,
Eiichi GYOTOKU
1
,
Takahiko YANO
1
,
Keigo DOTE
2
1広島市立安佐市民病院皮膚科
2広島市立安佐市民病院内科
1Department of Dermatology, Hiroshima City Asa Hospital
2Department of Internal Medicine, Hiroshima City Asa Hospital
キーワード:
肺塞栓症
,
植皮術
Keyword:
肺塞栓症
,
植皮術
pp.427-430
発行日 1999年5月1日
Published Date 1999/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902903
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69歳,女性.左頬部の母指頭大の黒色腫瘤(基底細胞癌),上口唇部の大豆大腫瘤(日光角化症)に対して全身麻酔下に切除術を行い,鎖骨部より採皮して遊離植皮術を施行した.手術翌日,初めてトイレに歩いて行った際,気分不良,胸部不快感,圧迫感が出現し転倒した.肺動脈造影で,右肺の上中下葉,左肺の下葉に多数の塞栓像が認められ肺塞栓症と診断した.ウロキナーゼ,ヘパリンにより血栓溶解療法,抗凝固療法を行い軽快した.下肢静脈造影で左下肢の深部静脈に血栓像を認めた.肺塞栓症は,高齢,肥満などの危険因子を有する場合には,比較的軽微な手術後や長期臥床,悪性疾患などが誘因となって発症し得る疾患として念頭におく必要がある.さらに,発症すれば重篤な経過をとる症例が多いため予防的処置を講ずることが大切と思われた.
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