Japanese
English
症例報告
コレステロール結晶塞栓症の1例
A case of cholesterol crystal embolization
杉澤 裕
1
,
五十嵐 敦之
1
,
原田 昭太郎
1
,
原田 美貴
2
,
五味 昭彦
3
,
竹内 靖夫
3
Yutaka SUGIZAWA
1
,
Atsuvuki IGARASHI
1
,
Shotaro HARADA
1
,
Miki HARADA
2
,
Akihiko GOMI
3
,
Yasuo TAKEUCHI
3
1関東逓信病院皮膚科
2関東逓信病院病理診断科
3関東逓信病院心臓血管外科
1Division of Dermatology, Kanto Teishin Hospital
2Division of Pathology, Kanto Teishin Hospital
3Division of Cardiovascular Surgery, Kanto Teishin Hospital
キーワード:
コレステロール結晶塞栓症
,
抗凝固療法
,
大動脈瘤
Keyword:
コレステロール結晶塞栓症
,
抗凝固療法
,
大動脈瘤
pp.434-436
発行日 1997年5月1日
Published Date 1997/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412902218
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皮膚症状を主症状とし皮膚生検にて診断された,コレステロール結晶塞栓症の73歳男性例を報告した.大動脈冠動脈バイパス術後4年間,抗凝固療法を継続中,両側の第IV,V趾に有痛性紫紅色斑が出現.右側は急速に潰瘍化し網状皮斑も認められた.足背動脈の拍動はよく触知された.ワーファリン内服を中止し皮膚生検を行い組織学的に診断が確定した.その後,壁在血栓を伴う腹部大動脈瘤が発見され,抗凝固療法を誘因としてコレステロール結晶の飛散が生じ下肢の小動脈を塞栓したものと考えられた.一過性に蛋白尿を認めたことを除き,皮膚以外の臓器に異常所見はなかった.現在皮疹は軽快しつつある.本邦における本症の報告は少なく,皮膚科領域に限ればこれまで5例のみである.血管操作や抗凝固療法を受けている患者の下肢末梢部に虚血性皮膚病変があり,足背動脈が触知される場合,本症を念頭に置き積極的に皮膚生検を行うことが肝要と考えられる.
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