特集 診療所での上手な抗菌薬の使い方
【診療所における抗菌薬治療】
③消化管感染症―急性下痢症
喜瀬 守人
1
1川崎市立多摩病院総合診療科
キーワード:
急性下痢症
,
便培養
,
キノロン系抗菌薬
,
濃度依存性
,
ST合剤
Keyword:
急性下痢症
,
便培養
,
キノロン系抗菌薬
,
濃度依存性
,
ST合剤
pp.634-637
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100393
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Question & Answer
Q:急性下痢症のempiricな治療に適した抗菌薬は?
A:急性下痢症の病原微生物に適したスペクトラムを持つ,キノロン系抗菌薬(シプロフロキサシンやレボフロキサシン),ST合剤が第一選択になります.
一般外来における抗菌薬治療の難所のひとつは,その適応を決定することである.その中でもとくに,急性下痢症では,抗菌薬の適応を判断するための明確な根拠が得られにくく,妥当な判断を下すことが難しい.ここでは,一般外来でマネジメントする消化管感染症の多くを占める急性下痢症について,便培養の適応,抗菌薬の使用を検討するための臨床情報,推奨される抗菌薬の使用法について概説する.
診察で得られる情報から,抗菌薬の適応は決定できるか?
急性下痢症は,対症療法だけでほとんどが自然軽快するため,抗菌薬を使用するケースはかなり限定される.市中感染による急性下痢症の代表的な病原微生物を表1に示すが,抗菌薬治療の適応となる病原微生物はごく少ない.細菌が原因となっている場合でも,抗菌薬なしで軽快するケースは多い.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.