Japanese
English
今月の症例
プロトテコーシスの1例
A case of cutaneous protothecosis
波多野 裕二
1
,
山本 昇壯
1
,
岡野 伸二
2
Yuji HATANO
1
,
Shoso YAMAMOTO
1
,
Shinji OKANO
2
1広島大学医学部皮膚科学教室
2尾道総合病院皮膚科
1Department of Dermatology, Hiroshima University School of Medicine
2Division of Dermatology, Onomichi General Hospital
キーワード:
プロトテコーシス
,
プロトテカ
,
藻類感染症
Keyword:
プロトテコーシス
,
プロトテカ
,
藻類感染症
pp.215-218
発行日 1996年3月1日
Published Date 1996/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901786
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66歳,男性.ミカン栽培従事者に発症したプロトテコーシスの1例を報告した.初診8ヵ月前より右手背に紅色浸潤性皮疹を生じ,水疱,膿疱,潰瘍を混じた肉芽腫性病変を続発した.また前腕には多数の皮下結節がみられた.原因微生物の分離培養は成功しなかったが,病理組織学的に,間質内や巨細胞内に内生胞子を形成した胞子嚢を豊富に認め,その特異な所見より本症と診断した.外科的切除に加え,アンホテリシンB外用,フルコナゾール内服を併用した.治療開始後6ヵ月で皮疹は次第に軽快治癒し,以後3年間皮疹の再燃は認めていない.本疾患は無葉緑素藻類の一種に分類されるプロトテカを原因微生物とする稀な感染症であり,本邦では自験例を含めて11例の報告がみられるのみである.本疾患に対する治療法は確立されていないが,自験例ではアンホテリシンB,フルコナゾールは比較的有効であった.
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