連載 皮膚科医と写真撮影・6
顕微鏡写真の撮り方(つづき)
木村 俊次
1
1国家公務員等共済組合連合会立川病院
pp.1115
発行日 1992年12月1日
Published Date 1992/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900777
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3)モノクロ撮影時に特有の事項
①染色法とフィルター:染色の色と補色の関係にある色のフィルターを使うと写真のコントラストが強くなり,鮮明な像が得られる.HE染色の場合,緑フィルター(図左)とLBフィルター(図右)とで写り方に差がある.エオシンのピンク色とヘマトキシリンの紫色に対して,緑はともに補色に近いのでコントラストがつく.しかし密な角層などは強染して細かい構造がみえにくくなる.こんなときはLBフィルターのほうがよい.その他の染色についても,PASは赤紫色なので緑フィルターが良く,トルイジン青の異染性も紫ないし青紫であることから緑フィルターでよい.コロイド鉄は青緑色調なのでオレンジ色のフィルターがベストである.エラスチカや鍍銀は黒く染まるのでフィルターは何でもよいが,周囲とのコントラストの差を考えるとLBフィルターが良さそうである.
②フィルム:銀粒子が細かいネオパンFや非常に細かいミニマックスはより鮮明な写真がとれるが,通常は手札かせいぜいカビネの大きさに拡大する程度なので,ネオパンSSで十分である.
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