細胞学入門・3
IV.細胞形質(つづき)
山元 寅男
1
1九大・解剖学
pp.1938-1942
発行日 1972年9月10日
Published Date 1972/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204459
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a.細胞小器官
(1)細胞膜または形質膜
ii.細胞外被(cell coat)または糖皮(glycocalyx)(図1,2,3):植物細胞を光学顕微鏡で観察すると,細胞の外周に密接するセルローズの壁構造を認める.動物細胞でも,たとえば,卵細胞や骨格筋線維などでは類似の構造を認めるが,大部分の細胞では観察できない,このことが,かつて,植物細胞には細胞膜が存在するが,動物細胞にはないといわれたゆえんである.しかし,動物細胞にもその外周に糖タンパクの壁構造が存在するが,細胞により,また細胞の部位により,その発達の程度が異なっており,一般に厚さが薄く,植物細胞の場合ほど密質でないために,光学顕微鏡でとらえることが困難である.
さて,この動物細胞の外周にある構造は,フコース,マンノース,ガラクトース,グルコースアミン,ガラクトースアミン,シアル酸などを含む酸性多糖類とタンパクの複合体からできている.したがって,糖からなる細胞被層ということで,Bennettはこれに糖皮(glycocalyx)と名づけた.
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