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ロッキー山脈の上に湧き上がる雲を抜けると一面の濃い緑の絨毯が目に飛び込んできた.着陸のために機がゆっくりと旋回すると左手に夕日に照り映える広大な湾が広がって見える.その一隅にビルの集まるシアトルのダウンタウンが灰色に見える.新緑のフリーウェイを走るタクシーの窓から吹く風は一昨日の初夏を思わす京都とは違ってカラリとした冷たさを持ち,北国を感じさせる.ダウンタウンの一角に聳えるタワーが今回の会場の一つであるシェラトンホテルである.
5月1日から4日の会期で行われたこの研究皮膚科学会SIDは全米だけでなくヨーロッパや日本からの参加者も多い.今年は日本皮膚科学会総会に引き続き行われるという日程ながら,来る1993年に京都で行われるトリコンチネンタルミーティングの準備もあり,西川,今村,三島教授をはじめ多くの参加者がみえておられた.日本からの演題数も45と昨年を大きく上回っていた.最初のプログラムである第1日目の夕刻より始まるIrwin H.Blankレジデント/フェローフォーラムの前にはロビーのあちらこちらで久しぶりの再会を喜びあう姿がみられた.このフォーラムは名前はレジデント/フェローだが,いつもup todateな話題を提供している.今回のテーマはcell-matrix interac—tion in cellular differentiationであった.今日から明日へのトレンドを求めてくい入るようにレクチャーを聴いているのが決して若手だけでなく各分野の権威者が多いのが目を引く.多くの日本からのSID会員の参加者のもとにはプログラムが届いておらず,レジストレーションではじめてプログラムを手にする方が多かったようだ.これだけはエアメール料金を負担しても早く欲しいと思うのは私ひとりだけではないだろう.ちなみに私のところへは帰国後2週ほどして届いた.午後9:30から隣接するワシントン州立コンベンションセンターロビーでウェルカムレセプションが開かれた.いつもは賑わうレセプションだがワシントンDCとは異なり,さすがに時差と長旅の疲れのせいか皆早々に引き上げていった.
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