Japanese
English
今月の症例
背部弾性線維腫について
Elastofibroma Dorsi
柳川 茂
1
,
大隅 正義
1
,
関根 紀一
2
,
坂本 充弘
3
Shigeru YANAGAWA
1
,
Masayoshi OHSUMI
1
,
Kiichi SEKINE
2
,
Mitsuhiro SAKAMOTO
3
1埼玉県立がんセンター皮膚科
2埼玉県立がんセンター整形外科
3埼玉県立がんセンター中央検査部
1Division of Dermatology, Saitama Cancer Center
2Division of Orthopedics, Saitama Cancer Center
3Division of Clinical Laboratory, Saitama Cancer Center
キーワード:
弾性線維腫
,
肩甲骨下部
,
エラスチン染色
,
弾性物質
,
地理的偏在性
Keyword:
弾性線維腫
,
肩甲骨下部
,
エラスチン染色
,
弾性物質
,
地理的偏在性
pp.661-666
発行日 1991年8月1日
Published Date 1991/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900421
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背部弾性線維腫の2例を報告し,皮膚科分野であまり知られていないこの疾患についての概要を述べた.本症は肩甲骨下部に発生することが多い腫瘍状病変であり,エラスチン染色にて変性した弾性物質が多量に含まれることから命名されたもので,日本人,特に沖縄地方での症例が多い.膠原線維間に混在する弾性物質は,電顕的に正常の弾性線維によく似た形態の線維状物質と微細な線維が雲状塊様に集合した小球状物質とから成り,相互に融合して,光顕レベルでは小球状,数珠状,ムカデ線維状,平滑線維状の形態をとる.発生部位的特徴から機械的刺激による反応性増殖症と考えられているが,その出現機序は弾性線維の性質を知るうえで興味深いものがある.また,本症の地理的偏在性から,何らかの遺伝的環境的要因が関わっていることが示唆されている.
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