Japanese
English
臨床経験
肩甲下部弾性線維腫の1症例
A Case Report of Subscapular Elastofibroma
丸山 博司
1
,
江見 葉子
1
,
浦 等
1
,
白岩 和巳
1
,
堤 雅弘
1
,
高橋 精一
1
,
小西 陽一
1
,
三井 宜夫
2
,
杉本 秀樹
2
,
西村 秀樹
3
Hiroshi Maruyama
1
1奈良県立医科大学附属がんセンター・腫瘍病理
2奈良県立医大整形外科
3奈良県大和高田市立病院整形外科
1Department of Oncological Pathology, Nara Medical University
キーワード:
軟部組織腫瘍
,
soft tissue tumor
,
弾性線維腫
,
elastofibroma
,
エラスターゼ
,
elastase
Keyword:
軟部組織腫瘍
,
soft tissue tumor
,
弾性線維腫
,
elastofibroma
,
エラスターゼ
,
elastase
pp.195-197
発行日 1985年2月25日
Published Date 1985/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907129
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抄録:著者らは,熊本県出身で約30年間の漁業の網引の仕事に従事していた職歴のある67歳の女性に,右肩甲下部の弾性線維腫の発生を認めたので報告する.本腫瘤は,世界的にみて沖縄県に最も多くみられるとされているが,稀な地理病理学的特徴を有した疾患と考える.組織学的に,腫瘤は被膜をもたず,豊富な膠原線維のある結合織からなり,これに成熟脂肪織の小島と血管成分が混在したもので,この中にWeigert染色に好染する数多くの弾性線維腫線維が認められた.これらの線維は,膵エラスターゼの前処置により消化された.本腫瘤は,遺伝的な体質的素因を背景にして,肩甲下部の場合では肩甲骨と肋骨弓との機械的刺激に対する一種の反応性増生によっておこると考えられる.著者らの症例も,恐らく個体の体質的素因と地理的因子に,外的因子が加わって発生したものと考える.
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