Japanese
English
症例報告
感染性心内膜炎を合併した高齢発症のtoxic shock syndromeの1例
A case of elderly-onset toxic shock syndrome complicated by infective endocarditis
谷川 広紀
1
,
中原 智史
1
,
中島 香織
1
,
廣瀬 豊樹
2
Hiroki TANIGAWA
1
,
Satoshi NAKAHARA
1
,
Kaori NAKASHIMA
1
,
Toyoki HIROSE
2
1国保水俣市立総合医療センター皮膚科
2国保水俣市立総合医療センター循環器内科
1Division of Dermatology, Minamata City General Hospital and Medical Center, Minamata, Japan
2Division of Cardiology, Minamata City General Hospital and Medical Center, Minamata, Japan
キーワード:
toxic shock syndrome
,
褥瘡
,
感染性心内膜炎
,
外毒素
Keyword:
toxic shock syndrome
,
褥瘡
,
感染性心内膜炎
,
外毒素
pp.953-958
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207440
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要約 85歳,女性.認知症の既往あり,当科初診の10日前に転倒し,疼痛から体動困難となっていた.初診日の朝から熱発,夕方から全身倦怠感も出現し,当院救急外来を受診した.初診時,血圧低下・表皮剝脱を伴う多数の紅斑・左足底の褥瘡を認めた.Toxic shock syndrome(TSS)と診断し,抗菌薬,免疫グロブリン投与などを行った.当初全身状態改善傾向にあったが,第15病日より意識レベル低下など状態悪化し,手掌にJaneway斑の出現を認めた.同日経胸壁心臓超音波施行し,感染性心内膜炎(infectious endocarditis : IE)の合併と診断した.抗菌薬治療継続するも反応なく,第19病日に永眠した.TSSとIEの合併の報告は稀だが,いずれの病態にも黄色ブドウ球菌の外毒素がスーパー抗原として働き発症に寄与すると考えられている.自験例のように皮膚所見が乏しいにもかかわらず両疾患が合併する例があり,診断の遅れから致死的な経過をたどることがある.皮膚科医は常に両疾患を念頭に置くべきである.
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