Japanese
English
症例報告
足背の熱傷後に生じたtoxic shock syndromeの1例
A case of toxic shock syndrome in an instep burn patient
崎山 とも
1
,
笠井 弘子
1
,
木花 光
1
Tomo SAKIYAMA
1
,
Hiroko KASAI
1
,
Akira KONOHANA
1
1済生会横浜市南部病院皮膚科
1Division of Dermatology, Saiseikai Yokohama City Nanbu Hospital, Yokohama, Japan
キーワード:
toxic shock syndrome
,
軽症熱傷
Keyword:
toxic shock syndrome
,
軽症熱傷
pp.717-721
発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103388
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要約 45歳,男性.左足背に熱湯で真皮深層までの手拳大の熱傷を受けた.その後数日で発熱,下痢,嘔吐,全身の多発融合性紅斑,血圧低下が出現した.血液検査でWBC 15,900/μl,CRP 28.63mg/dl.AST 77IU/l,ALT 35IU/l,BUN 81mg/dl,Cr 4.82mg/dlと肝腎機能障害,CK 4,549IU/lと上昇,Plt 4.2×104/μlとDICも認めた.Toxic shock syndrome(TSS)を疑いピペラシリンナトリウム4g/日,補液を開始.免疫グロブリン5g/日,ガベキサートメシル酸塩2g/日も3日間投与した.抗生剤は第6病日より塩酸バンコマイシン1g/日とメロペネム三水和物1g/日へ変更した.治癒期には掌蹠に膜様落屑を認め,熱傷部培養からはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出された.感染徴候も軽度の比較的小範囲の熱傷が原因であった.多臓器不全を伴うびまん性の潮紅を見たときには,軽微な感染巣の場合でも鑑別としてTSSを疑う必要がある.熱傷患者に対する予防的な抗生剤投与がTSSの発症リスクを下げる可能性はある.一方で耐性菌を不必要に増やす危険もあり,TSSの発症頻度が低い中高年については,予防投与について十分に検討する必要がある.
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