Japanese
English
今月の症例
エゾウイルス感染症の1例
A case of Yezo virus infection
野口 藍子
1
,
小松 成綱
1
,
橋本 喜夫
1
,
金田 和宏
2
,
三津橋 和也
3
,
渡 慧
3
,
田宮 和真
3
,
後藤 明子
3
,
山口 宏樹
3
Aiko NOGUCHI
1
,
Shigetsuna KOMATSU
1
,
Yoshio HASHIMOTO
1
,
Kazuhiro KANETA
2
,
Kazuya MITSUHASHI
3
,
Kei WATARI
3
,
Kazuma TAMIYA
3
,
Akiko GOTO
3
,
Hiroki YAMAGUCHI
3
1JA北海道厚生連旭川厚生病院皮膚科
2かねた皮膚科クリニック
3北海道立衛生研究所感染症センター
1Division of Dermatology, Asahikawa-Kosei General Hospital, Asahikawa, Japan
2Kaneta Dermatology Clinic, Asahikawa, Japan
3Hokkaido Institute of Public Health, Center for Infectious Diseases, Sapporo, Japan
キーワード:
エゾウイルス
,
ブニヤウイルス目ナイロウイルス科
,
ダニ媒介性感染症
,
ライム病
,
回帰熱
Keyword:
エゾウイルス
,
ブニヤウイルス目ナイロウイルス科
,
ダニ媒介性感染症
,
ライム病
,
回帰熱
pp.465-470
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207333
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要約 40歳台,男性.6月上旬,北海道内の山中に入った翌日に右上腹部のマダニに気づき,自己抜去した.抜去後4日目から発熱が持続し7日目に当科に紹介された.当科初診時,右腹部に直径1 cm大の痂皮の付着を認め,発熱,食欲不振,関節痛,筋肉痛を伴った.他のバイタルサインは異常なく,頸部・腋窩リンパ節は触知しなかった.血液検査では白血球減少,肝酵素上昇,フェリチン上昇,CRP上昇を認めた.ドキシサイクリンを処方し経過をみたところ4日後から解熱し,新規症状なく経過した.患者血液,マダニ刺咬部の皮膚,患者が持参したマダニ虫体からエゾウイルス遺伝子が検出され,エゾウイルス感染症と診断した.本症はダニ媒介性感染症の一種で2019年に本邦で初めて確認された.自験例では皮膚検体を採取していたことから感染経路がダニ媒介性であることがより明確になり,疫学的・公衆衛生学的にも重要な知見を得ることができた.
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