綜説
エゾウイルスによるマダニ媒介性感染症
児玉 文宏
1,2
,
松野 啓太
3,4,5
1市立札幌病院感染症内科
2長岡赤十字病院総合診療科
3北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所危機分析・対応部門
4同研究所国際協働ユニット
5同大学ワンヘルスリサーチセンター
キーワード:
エゾウイルス
,
ブニヤウイルス目ナイロウイルス科
,
マダニ媒介性感染症
Keyword:
エゾウイルス
,
ブニヤウイルス目ナイロウイルス科
,
マダニ媒介性感染症
pp.881-887
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002252
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2019年,北海道の山林でマダニと思われる虫による刺咬後,発熱と下肢痛を主訴に受診した患者から,新規オルソナイロウイルスが検出された.エゾウイルスと呼称し,マダニが媒介する新たなウイルス感染症と診断した.その後の血清疫学研究にて2014年以降,少なくとも7名の感染者が北海道内で発生していたことが判明した.北海道内のマダニや野生動物においてもエゾウイルスの感染が確認されており,すでに北海道内にウイルスが定着している可能性がある.エゾウイルスとその感染症の疫学,臨床像,検査診断などについてさらなる研究が必要である.また北海道内での検査体制の確立が急務となっている.
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